自己株式とは、その名の通り「自己」、すなわち会社自身が保有する株式のことを言います。
株式を発行することで会社は出資を受けますが、出資者あるいはその出資者から株式を譲り受けた人から会社が株式を取得した際に、当該株式は自己株式となります。なお、俗に言う「金庫株」とは、この自己株式のことを指します。
自己株式になると、当該株式については下記のような制限が付き、他の株主が所有する株式とは異なる扱いを受けます。
①剰余金の配当を受けることが不可能
②議決権の行使が不可能
③募集株式・募集新株予約権の株主割当てを受けることが不可能
一方、株式の併合や分割の効果は、自己株式にも及ぶと言われています。
一見したところ、自己株式には利点が無いようにも思われますが、実務上では事業承継を行う場合などに用いられることが多いようです。
但し注意すべき点が1つあります。
それは、会社に「分配可能額」が無い状態では自己株式を取得することが不可能ということです。
この「分配可能額」には一定の計算方法があるのですが、仮にこの額が不足している場合は、会社が資本準備金として計上している額を減額し、それを剰余金に計上するという方法が一般には取られることが多いようです。
ちなみに別の方法として、全部取得条項付種類株式などの種類株式を用いて自己株式の取得を図る方法などもあります。